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ZED [舞台]

シルク・ドゥ・ソレイユの『ZED』を観てきた。

開演10分ほど前に会場の中に入ると、すでにキャストの道化師役の人が、客席に入り、お客さんをいじっていた。
特別な芸をするわけではないが、存在だけですでに世界が始まっている感じ。
行かれる方は、ぜひちょっと前から客席につくことをお勧めしたい。

本編は、『見事!』の一言。
想像以上のパフォーマンス。
テクニックだけでなく、一人一人のアーティストが徹底した表現者に徹している。
会場に入る前の掲示で、「アスリートからアーティストへ」と書かれたものがあったが、まさにその通り!
競技者だった人たちが多いようだが、ただの技をきめるということだけに終始せず、そのテクニックを通して、表現しようとしている。
また、それぞれ専門の競技や演技があるにも関わらず、全体としては『ZED』という世界観の中で、しっかり統一されている。
細かいストーリーや筋書きがあるわけではないが、『ZED』という世界にどっぷり浸かった90分(休憩を除く)だった。


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人形の家 [舞台]

なんだかだんだブログのタイトルから離れていっているような……

シアターコクーンで『人形の家』を観て来た。
何年ぶりかでデヴィッド・ルヴォーの演出作品。
ノラ・ヘルメル 宮沢りえ
トルヴァル・ヘルメル 堤真一

最近、一幕もの、休憩なし。という舞台が多かった気がするのだが、この作品は途中2回の休憩をはさんだ3幕構成。
休憩が入らない方が、舞台に対しての集中力というか、のめり込み感が途切れず、一気に観れる感じが強い、と思っていた。
だから演出家は、あえてその方法を選ぶのだろうと。
しかし、この舞台は、最後まで説得力をもって、観客をイプセンの世界に引きずり込んでいた。
原作のもつ力だったり、役者さんたちの力量だったりはあると思うが、これが本来の舞台の在り方なんだろうと感じる。

この舞台、演出はもちろん期待通りだが、キャスティングもすばらしい。
主役のノラは、人形のようにかわいがられ、人形のように振る舞ういいところの奥さん。
その女性が、あることをきっかけに、自立し、自分自身の生き方を探求しようとしていくのだが、ただただかわいがられるお人形さんのような女性、自分で考え自分で立とうとする強い女性の両面をとてもうまく演じていた。
また、幼なじみのクリスティーネ・リンデ婦人を演じていた神野美鈴さんもうまい!

ひさびさに良質の舞台を観た気がする。
こういう舞台が最近少ないと感じるのは、気のせいだろうか。

赤坂大歌舞伎 [舞台]

赤坂ACTシアターで行われた、歌舞伎公演。
またまた勘三郎さんだ。

それにしても、本当に勘三郎という役者さんはサービス精神に溢れている人だ。
どうやったら観客が楽しいか、そのための努力を決して怠らない人なんだと思う。

今回の演目は
「狐狸狐狸ばなし」
「棒しばり」

「狐狸狐狸ばなし」は、とっても大人な話。
いやぁ、大人ってこわい。
とにかく笑って、笑って、最後にちょっとゾッとする感じ。

「棒しばり」は舞踊劇。
勘太郎と七之助のコンビでの演目。
余計な合図はナシで、見事に息が合う感じがすごい。
技術ももちろん、若々しさに溢れた踊りだった。

来月は中村座だ。

八月納涼大歌舞伎 第三部 [舞台]

久々の歌舞伎座。


一幕目は『紅葉狩』
ものすごく久しぶりに舞踊劇を観たような……
中村勘太郎の、更科姫の可憐な舞から、ふっと戸隠山の鬼女の顔がのぞく舞&演技は見事。
紅葉狩は、音楽も常磐津、長唄、竹本と3種の音楽が掛け合いながら演奏していく。
久々に聴く生の三味線の音色と合奏も華やかで、歌舞伎らしい歌舞伎を堪能した気分。

内容とは全く関係ないが、鬼女の髪は前から茶色?
一昔前に渋谷を闊歩していたギャル男を一瞬連想してしまった……


二幕目は『野田版 愛陀姫』
オペラ『アイーダ』の歌舞伎版。
そこは野田演出で、どう変化球が出てくるのかと思ったら、意外とそのまま『アイーダ』だった。
前半は、そこそこ笑いもあり、祈祷師を演じる扇雀と福助がかなりはっちゃけていて面白い。
言葉の圧倒的な多さなどは、野田演出独特だが、せっかく『アイーダ』を野田演出で、それも歌舞伎でやるのだったら、独自のものが入って来てもよかったのではないだろうか。
そうは言っても、さすが野田&勘三郎コンビの舞台だけあって、十分楽しめる舞台だった。


しかし、さすがに野田&勘三郎コンビ、十分に楽しめる舞台だった。

ダルマ [舞台]

初カムカム・ミニキーナ観劇。

大雑把に言ってしまうと「輪廻転生」ということなのかな。
ストーリーにもセリフにもたくさんの伏線が張り巡らされており、笑いもありつつ、深い。

私自身は最近の作品しか観てないが、もしかして野田秀樹さんが学生時代や若かった頃の作品は、こんな感じだったのかも、と感じる作品だった。

ウェディング・ママ [舞台]

木の実ナナ主演の舞台。
脇の俳優陣も、ベテランで味のある俳優さんが多く、さすがだ。
鷲尾真知子さん、本当にすごいです。

歌うシーンが口パクだったのが、ちょっと残念。
歌える人がそろっているのに、なぜ?

五右衛門ロック [舞台]

久々に、新感線にやられた、という感じ。
古田新太さんが主演のロックミュージカルって、どうなるんだろう?と思いつつ観劇開始。

とてもテンポよく話はすすんでいく。
天下の盗人、石川五右衛門がある島のお宝を盗むように依頼される。
それを受けて、五右衛門一家は一路南の島へ旅立つ。
島についてみると、そこには……

新感線の舞台ならではの殺陣のシーンもふんだんに盛り込まれ、森山未來・川平慈英らのタップダンスを始めとしたダンスも楽しめ、もちろん笑いもたくさん。
それだけでも十分に楽しめる。
と思っていたら、ラスト…………
やられました。
本当にテンポよくすすんでいく舞台に、気をとられたら、いきなりの急展開。
先を想像しながら観ていれば、予想できたことかもしれないが、基本的にその場、その場を楽しむ(というより先に気がまわらない)私には、本当にいきなりそれはやってきた。
それまで何気なく聴いていたメロディーと歌詞なのに、もう涙がとまらなくなってしまう。

数年前に上演されていた『SHIROH』もかなりきていたが、あれは話もある程度は予想できるものであったし、クライマックスに向けてストーリーも突き進んで行く感じだったので、心の準備ができていたように思う。
が、この『五右衛門ロック』は、そんなこと微塵も感じさせない雰囲気の中、いきなりやってくるのだ。
本当に久々にやられた舞台だった。

コクーン歌舞伎『夏祭浪花鑑』 [舞台]

気がついたら書き忘れていたので、今更だが感想を。

観る度に思うが、中村勘三郎という人ほどエンターテイメントに徹してる歌舞伎役者はいないと思う。
この人のすごいところは、観客を楽しませながらも、本物の芸を観せられるところだろう。
ただ楽しく、笑わせるだけだったら別に歌舞伎である必要はないし、テレビのお笑い番組でも観てればいいだろう。
しかし、勘三郎の舞台は、しっかり歌舞伎という伝統を踏襲しながら、その歌舞伎の魅力を伝えるとともに、伝統や堅苦しさを超越したワクワク感や感動を呼び起こすような舞台なのだ。

今回のコクーン歌舞伎は、ヨーロッパでの公演の続きということで、上演時間もいつもより短く、ストーリーも簡潔になっているように感じる。
海外の観客を意識してか、前回、同じ演目をシアターコクーンで上演した時より、言葉に頼らない見せ場が強調されているように感じた。
セリフの中にも、英語やドイツ語がちらっと入ってたり、ラストシーンに登場するパトカーが、”警視庁”のパトカーではなく、"POLIZEI"のパトカーだったり、海外公演あらではの演出も多かったように思う。

普段から歌舞伎を観ている人には、かえって物足りない部分もあったかもしれないが、始めて歌舞伎を観る人や、私のようにミーハー的にたまにしか歌舞伎を観ない人には、文句なく楽しめる作品だった。

今回も知り合いの人にチケットをとっていただいた関係で、花道すぐ脇の平場の席(席といってもイスではなく座布団があるだけなのだが)だった。
見せ場の一つである泥をかぶった笹野さん扮する義平次が花道での演技に備え、開演前に荷物を備え置きのビニールで包み、その時には雨合羽をはおって観劇するのだが、それだけ万全の準備をしているにも関わらず、なぜか雨合羽の下にあったはずのスカートに泥が……一緒に観ていた友人の荷物は完全にビニールでくるんであったはずなのに、やはり泥が……一番謎なのは、雨合羽をちゃんと着ていたはずなのに、なぜか背中に泥が……
もちろん観る前からわかっていることなので、全く問題はないのだが、どうしてそこに泥が入ってしまうのか、本当に不思議だ。

バレエ・フォー・ライフ [舞台]

モーリス・ベジャールの追悼公演。
このバレエは、Queenの曲とモーツァルトの曲で構成されている。

私は決してよいバレエの観客ではないと思う。
詳しくもないし、そんなに回数も観に行くことはない。
あまり興味のない人でも知っているような有名な演目や有名なバレリーナの舞台を観に行くだけの、ミーハーな見方しかしていない。
そんな私でも気になるのがベジャールの作品。
数少ないバレエ鑑賞の半分くらいはベジャールの作品かもしれない。
ほとんどわからない私でも引き込まれてしまうくらい、ベジャールの作品は魅力的だ。

『バレエ・フォー・ライフ』は、バレエの演目では珍しくロック音楽が使われている。
Queenもそんなに詳しいわけではないが、知らず知らずのうちに聴いていたQueenの曲はたくさんある。
そんな曲にのせて舞台はすすんでいく。
前にも書いた通り、バレエのことはほとんどわからない。
ただ観て楽しむだけだ。
それでも、人間の体ってあんなにいろいろな表現ができるものなんだと圧倒される。
Queenの曲も、言葉はよくわからないのだが(泣)ロックというジャンルだけでは分類しきれない、幅の広さを感じる。
そのベジャールとQueen、それにモーツァルトによる舞台は、本当に奇跡的な舞台だと感じる。

ラストは『The Show Must Go On』(ショーを続けなければ!)
もうベジャールもフレディもこの世にはいない。
二人の新しい作品を、もう聴くことも観ることもできない。
そう思ったら、無性に悲しくなってきて、思わず泣いてしまった。
やはり舞台は観られるときに観ておかなければ。


BLUE MAN GROUP [舞台]

また舞台の話題。
ブログタイトルを変更したほうがよいかな、と思いつつ……。

オフブロードウェイで話題になった"BLUE MAN GROUP"。
その名の通り、青い人3人のグループで、パフォマンスをするもの。
パーカッションを中心に、映像なども使って次々とパフォーマンスが展開する。
パーカッションは見事。
ちょっと”Blast!”を彷彿とさせるような部分もあるが、楽器によるパフォーマンスはメインではない。

完全に客席を巻き込んでいく演出で、日本の演劇でよくあるイジリを超越したイジリっぷり。
サクラ?と疑いたくなってしまう程、舞台に上げられた客席の人たちはノリがよかった。
とってもアメリカな感じだ。
表現もとても直接的。
一緒に発散したり表現したり、ノリがいい人は楽しめるかもしれない。
パワーはものすごいものを感じる。

私はやっぱり日本人だなぁ、としみじみ……。